RACE REPORT
2024 SEASON. Round.2
SUZUKA CIRCUIT
Race Report —–Round.2 SUZUKA CIRCUIT
【M2 CS Racing】Round.2 レースレポート
ワンメイクレースならではの激しいバトルが繰り広げられる「BMW & MINI Racing.2024 Rd 2 at SUZUKA CIRCUIT Supported by 三洋自動車」が、2024年5月11(土)、12日(日)の2日間にわたり、三重県の鈴鹿サーキットで行われました。
今年で3年目となる「BMW & MINI Racing」は、「MINI CHALLENGE JAPAN」と「M2 CS Racing Series」という2つのレースカテゴリーが共催され、今シーズンは全ラウンドとも1日目に予選、2回の決勝レースを2日目に行うスケジュールで開催されます。
2022年よりスタートした「M2 CS Racing Series」は、日本で唯一の“BMW Group Japan”のオフィシャルレースです。BMW M社とBMW Motorsportが共同開発した限りなくピュア・レーシングカーに近いクラブ・スポーツ・モデル「BMW M2 CS Racing」によるワンメイクレースで、よりスタイリッシュ、そしてスポーツ・ラグジュアリーな大会として開催されています。
1日に2回の決勝レースを戦う「1デイ2レース」のほか、決勝レース2は決勝レース1の順位の上位60%までを「逆さま」に入れ替えてスターティンググリッドに並ぶ「リバースグリッド方式」を採用。ワンメイクレースならではの接戦をさらにヒートアップさせるレースフォーマットが採用され見どころ満載となっていますが、「M2 CS Racing Series」は「サクセス・ハンディ制」を採っているのも大きな特徴です。
この「サクセス・ハンディ制」は、優勝すると次のラウンドからマシンの出力調整が行われるもの。BMW M2 CS Racingのデフォルトの出力は450馬力ですが、1ラウンドで優勝すると次戦は420馬力に、2ラウンドで優勝すると次戦は365馬力へと、優勝したラウンド数によって段階的に出力が絞られます。
また、国内トップカテゴリーで確かな実績を残しているドライバーは、規定により「プラチナ・ドライバー」と認定され、マシンの出力が450馬力から420馬力へと1段階抑えられた状態からの参戦となります。ただし、ラウンド2ではプラチナ・ドライバーに認定された選手は出場せず、ラウンド1で優勝した神頭選手のマシンのみが420馬力となります。
なお今シーズンはスタート方式に変更があり、コースによって決勝レース2のみローリングスタートで行われることになり、鈴鹿サーキットのレースはこれが適用されます。
ラウンド2の舞台となる鈴鹿サーキットは、全長5,807mのロングコース。立体交差を盛り込むことで非常に珍しい8の字型のレイアウトを実現しており、変化に富んだコーナーが次々と現れる攻めがいのあるテクニカルコースとして知られています。F1も開催され、日本におけるモータースポーツの聖地と言えるこのコースで、どんなドラマが繰り広げられるのか、エントラントだけでなく見る側も期待に胸が膨らみます。
なおラウンド2 鈴鹿は、Mie Chuo BMW 伊勢/鈴鹿などの正規ディーラーを展開する三洋自動車のサポートを得て開催。数多くのBMWファンが訪れレースを楽しみました。
【M2 CS Racing Series.2024 Round.2のエントリーリスト】
9 片野田 洋介 YZ M2 CS RACING
25 田中 瑞起 TECH-M eWeLL M2 CS Racing
46 髙橋 克彦 Elbe BMW M2 CS Racing
50 神頭 政志 GOOU M2 CS Racing with TECH-M
55 石井 一輝 DGMS M2 CS Racing
70 片山 剛 K-TEC M2 CS Racing with TECH-M
先述の通り、ラウンド1第1戦で優勝した神頭選手のマシンはサクセス・ハンディ制により450馬力から420馬力へとパワーが絞られます。これがラウンド2の走りにどのような影響を与えるのか、興味深いところです。また、片野田選手と髙橋選手がM2 CS Racing Sereisへの初参戦となります。
■予選
スタート直前の気温は21℃、よく晴れた穏やかな気候でしたが、湿度が65%とやや蒸し暑さを感じるなか、公式予選が予定通り午前11時50分にスタート。午後12時20分までの30分間、6台のマシンがタイムを刻みます。
石井選手、高橋選手を除いてすぐに4台がコースイン。徐々にペースが上がり、まず2周目に片山選手が2分18秒044、初参戦の片野田選手が2分22秒133をマークしました。続いてエンジンパワーが420馬力に絞られている神頭選手が3周目に2分18秒836を記録します。
そして予選が10分を経過しようとするところで、大きくベストタイムを縮めたのが田中選手。3周目に2分15秒839を出しトップに躍り出ます。
しかし、この記録を上回ったのが、遅れてアタックを開始した石井選手です。3周目に2分15秒232という素晴らしいタイムで、田中選手の記録を塗り替えました。
その後、公式予選中に田中選手が自身のベストタイムをマークした周回について走路外走行の検証が進められ、タイムが採用されない可能性が出たため、ピットインしていた田中選手は再アタックを試み2分20秒666を記録します。
また、もうひとりのフレッシュマンである高橋選手は、周回を重ねるごとにタイムアップし6周目に2分30秒652の自己ベストを記録しました。
ところが予選時間が残り10分ほどになったところで、他のマシンがデグナーカーブでコースアウトし、サンドトラップにつかまり動けなくなったため、赤旗が出され公式予選は中断。再開はせずそのまま終了となりました。
田中選手は走路外走行のため2分15秒839のラップタイムが採用されず、ベストタイムは2分20秒666となり、同様の走路外走行のため神頭選手もベストタイムが2分28秒628となりました。
こうして、ポールポジションは石井選手が獲得し、2番手 片山選手、3番手 田中選手、4番手 片野田選手、5番手 神頭選手、6番手 高橋選手という予選結果になりました。
■決勝レース1(第3戦)
ラウンド2の2日目は、朝から曇り空。気温は1日を通して前日と変わらず、日中は20℃前後で推移するようですが、湿度が80%を超えるほど高くなりました。天気予報では西から雨雲が近づいており、夕方に降雨があるかもしれないとのこと。午後3時30分スタート予定の決勝レース2まで天気が崩れないことを願うばかりです。
決勝レース1のフォーメーションラップ開始は9時30分。そして全車グリッドにつくと9時34分、「M2 CS Racing Series」2024シーズン ラウンド2 決勝レース1(第3戦)の幕が切って落とされました。
するとポールポジションの石井選手が若干出遅れ、2番グリッドの片山選手がインからするりと前へ出ます。片山選手のすぐ後ろには田中選手が接近し、この3台がなだれ込むように第1コーナーへ。しかし第2コーナーを抜けると石井選手がトップを奪い返し、続いて片山選手、田中選手、そして4番手に浮上した神頭選手がぴたりとつき、少し離れて片野田選手、高橋選手が追走。1周目はこの順位のままメインスタンド前へ戻ってきました。
2周目も順位に変動はありません。しかし決勝レース1は石井選手が新品タイヤを装着して臨み、田中選手と神頭選手は予選で使用したタイヤで出場しており、すぐに石井選手が後続を引き離すかと思われましたが、2周を終えても石井選手と田中選手、神頭選手の差はそれほど開きません。レース後に、空気圧の設定をミスしたと石井選手が振り返っていましたが、序盤は順位がどう入れ替わるかわからないような展開が続きました。
それでもレース中盤に入ると石井選手が徐々にリードを広げ、6周を終えたところで2位の片山選手に4.6秒あまりの差をつけ優位に立ちました。ところがスタートから16分ほど経ったところで高橋選手が最終コーナーにてクラッシュしてしまい、9時50分にセーフティカーが導入されました。高橋選手はなんとか走行しピットに戻ろうとするもののオイル漏れを起こしており、9時52分に赤旗が掲示されレースはそのまま終了となりました。
チェッカーフラッグは受けられなかったものの、優勝は石井選手の手中に。そして2位 片山選手、3位 田中選手、4位 神頭選手、5位 片野田選手、6位 高橋選手という結果となりました。
なおファステストラップは、石井選手が3周目にマークした2分16秒960でした。
■決勝レース2(第4戦)
「M2 CS Racing Series」の決勝レース2は、今シーズンから常にローリングスタート方式で行われるようになりました。決勝レース2が「リバースグリッド方式」行われるのは昨年と変わりありません。上位の60%の順位が逆さまになるので、6台出場のこのレースは、6×0.6=3.6で上位3台が入れ替わります。これによりポールポジションには田中選手がつき、2番手が片山選手、3番手は決勝レース1で優勝した石井選手、4番手 神頭選手、5番手 片野田選手、6番手 高橋選手という順番でグリッドに並ぶことになりましたが、高橋選手は決勝レース1のクラッシュの影響で出場を取りやめました。
午後3時には、曇り空ながら気温20℃と午前中に行われた決勝レース1より暖かくなりましたが、レース前には小雨が降りその影響が心配されました。しかしレース直前には路面がほぼ乾き、全車ダンロップのスリックタイヤを履いてレースに臨みます。午後3時30分、スケジュール通りフォーメーションラップがスタート。先導車がピットインすると、午後3時34分過ぎにローリングスタートが切られました。
田中選手は後続を引き離してポールショット決めると、温存していた新品タイヤを装着していることもあり、余裕あるアドバンテージを築くために速いペースを保ちます。速さでは引けを取らない石井選手は2番手へ浮上して追い上げを見せたいところですが、田中選手同様に新品タイヤを装着する片山選手がそれを許さず、しっかりと2位をキープ。
ところが最終コーナー手前、シケインを抜けたところで片山選手のインをつこうとした石井選手が接触し、片山選手がハーフスピンしてしまいます。片山選手はなんとかリカバリーしそのままレースを続けますが、石井選手には危険なドライブ行為としてドライブスルーペナルティが課されました。
こうして1周目は、1位 田中選手、2位 石井選手、3位 神頭選手、4位 片山選手、5位 片野田選手の順で戻ってきましたが、ここから片山選手の反撃が始まります。2周目に神頭選手を抜いて3位につけると、4周目には石井選手を抜いて2位へ浮上しました。そして石井選手は6周目にドライブスルーペナルティにより4位への後退を余儀なくされます。
トップの田中選手はしっかりとアドバンテージを築き、この順位のまま8周を終えますが、他の車両がシケインでスピンし停止してしまったため、午後3時53分にセーフティカーが導入されました。レースはそのまま10周を走りきり、田中選手が初優勝。2位 片山選手、3位 神頭選手となり、4位 石井選手、5位 片野田選手という結果になりました。
なおファステストラップは、片山選手が3周目にマークした2分17秒058でした。
M2 CS Racing Series.2024シーズンは、ラウンド2 鈴鹿サーキットに続き、ラウンド3 岡山国際サーキット、ラウンド4 スポーツランドSUGO、ラウンド5 富士スピードウェイと各地を転戦。そして最終ラウンドはモビリティリゾートもてぎが舞台となり、全6ラウンド、12戦でシリーズタイトルを争います。これからの「BMW & MINI Racing」の熱戦に、どうぞご期待ください。
Round.3以降の「BMW & MINI Racing.2024」のレースカレンダーは以下の通り。
Round.3
第5戦/第6戦 岡山国際サーキット(岡山県)
予選:6月29日(土)、決勝:6月30日(日)
Round.4 スポーツランドSUGO(宮城県)
第7戦/第8戦
予選:7月20日(土)、決勝:7月21日(日)
Round.5
第9戦/第10戦 富士スピードウェイ(静岡県)
予選:10月5日(土)、決勝:10月6日(日)
Round.6
第11戦/第12戦 モビリティリゾートもてぎ(栃木県)
予選:11月23日(土)、決勝:11月24日(日)