Schedule Race Report-202304

RACE REPORT

BMW & MINI Racing.2023 Round.4 HIGHLIGHTS

BMW & MINI Racing. Race Report —–2023 Round.4 Race07/Race08

  • M2 CS Racing Series
  • MINI CHALLENGE JAPAN

【M2 CS Racing】2023 Season Round.4 (第7戦・第8戦) レースレポート

4月に開幕し、ワンメイクレースならではの激しい戦いが続いている2023シーズンも、いよいよ後半戦へと突入。「BMW & MINI Racing.2023 Rd 4 at SPORTSLAND SUGO」が、2023年8月5日(土)、6(日)の2日間にわたり、宮城県のスポーツランドSUGOで開催されました。

「BMW & MINI Racing.2023」は、「M2 CS Racing Series」と「MINI CHALLENGE JAPAN」という2つのレースカテゴリーが共催され、走る側、観る側の両者が楽しめる魅力的なシリーズです。2年目を迎えた2023シーズンは、昨年の全5ラウンド・10戦から1ラウンドが増え全6ラウンド・12戦となり、モータースポーツの醍醐味をさらに堪能できるイベントへとアップデートされました。

「M2 CS Racing Series」は、日本で唯一の“BMW Group Japan”のオフィシャルレースです。BMW M社とBMW Motorsportが共同開発した限りなくピュア・レーシングカーに近いクラブ・スポーツ・モデル「BMW M2 CS Racing」によるワンメイクレースで、スタイリッシュかつスポーツ・ラグジュアリーな大会として注目を集めています。

ラウンド4の舞台となるスポーツランドSUGOは、スーパーフォーミュラ、SUPER GTといったトップカテゴリーのレースも行われている国際レーシングコースです。約73mの高低差をいかしたレイアウトと大小さまざまなコーナーがちりばめられた、攻め甲斐のあるテクニカルサーキットとして知られています。

スピードに乗ったバックストレートから、フルブレーキングで進入する馬の背コーナーでのかけ引き。さらには、最終コーナーからホームストレートにかけての10%というきつい登り勾配でのバトルなど見どころがたくさん。コース幅が狭く、オーバーテイクのポイントが少ないとも言われますが、さて今年はどんなドラマが生まれるのでしょうか。

また今回のラウンドは、BMW、MINIの正規ディーラーを展開するモトーレン仙台をはじめとする「QUETTA(クエタ)グループ」のサポートを受け開催。2日目の決勝レースの合間には、参加車両がずらりと並ぶピットの様子をわかりやすい説明を受けながら垣間見ることができるピットツアーやなども開催され、たくさんの来場者が華やかなレースイベントを楽しんでいました。

さて、今回は5日に予選のみが、翌6日に決勝2レースが行われるスケジュールが組まれました。公式予選は5日午後2時50分から30分間、6日は決勝レース1(第7戦)が午前10時15分から、決勝レース2(第8戦)が午後2時50分から、それぞれ20分間+1周で争われます。

8月最初の週末は、まさに夏真っ盛りで標高の高いスポーツランドSUGOでも、日中の気温は優に30度を超えます。路面温度も上昇し、タイヤとマシンのコンディションを的確にマネージメントする技量も問われそうです。

 

【M2 CS Racing Series.2023 Round.4のエントリーリスト】

8 近藤 翼 Studie BMW M2

19 奥村 浩一 BRP★Toto BMW M2 CS Racing

25 水元 寛規 TECH-M eWell M2 CS Racing

46 山西 康司 Elbe BMW M2 CS Racing

47 舟越 裕介 未来都市開発 砂子塾M2 CS Racing

50 神頭 政志 GOOU M2 CS Racing with TECH-M

55 石井 一輝 DGMS M2 CS Racing

70 片山 剛 K-TEC M2 CS Racing with TECH-M

78 服部 文雄 BMW RS PANTERA Racing

前戦の岡山ラウンドから、BMW M Team Studieの♯8 近藤 翼選手と、Elbe Racingの♯46 山西 康司選手が新たに参戦し、より白熱したレース展開で見る者を魅了していますが、スポーツランドSUGOでは9台のマシンがエントリーしました。ラウンド3を終えた時点でのポイントランキングは、1位が6戦5勝と強さを見せつけ332ポイントを獲得している♯25 水元 寛規選手で、2位が187ポイントの♯19 奥村 浩一選手、3位が167ポイントの♯78 服部 文雄選手と続いています。

 

こうしたタイトル争いも含め、レースの行方を占う上で大きなカギとなりそうなのが、M2 CS Racing Sereisならではのレギュレーションです。M2 CS Racing Seriesでは、B.o.P(バランス・オブ・パフォーマンス)という制度が導入されています。国内トップカテゴリーで確かな実績を残しているドライバーは、規定により「プラチナ・ドライバー」と認定され、マシンの出力が通常の450馬力から420馬力へと1段階抑えられた状態からの参戦となります。そしてプラチナ・ドライバーに認定されているのが、近藤選手と山西選手の2名です。

 

さらにB.o.Pの規定では、1度優勝すると、次のラウンドから1段階パワーを抑えた状態での参戦となります。ラウンド4開催の時点では、これに当てはまるのが水元選手と近藤選手。したがって、水元選手は420馬力、近藤選手は420馬力からさらに一段下げられた365馬力のマシンを駆っての戦いとなります。このパワーの違いがどのような結果を生むのかも、じつに興味深いところです。

■予選

 

前日の予報では、ちょうど予選が行われる時間帯に雷雨注意報が出されており、やや不安定な空模様を心配する声もありました。しかし、5日午後のスポーツランドSUGOは風が強いものの青空が広がりました。予選開始直前の気温は33℃、湿度は60%前後で、路面温度も高く、まさに真夏のサーキット。早めのアタックでタイムを出したいところです。

さて、このSUGOラウンドより予選の進め方に一部変更がありました。これまでの予選時間は20分間で、共催されるMCJP(ミニチャレンジジャパン)のマシンと同時にアタックしていましたが、トータルの予選時間を30分へと増やし、前半の15分をM2 CS Racing Seriesのマシン、後半の15分をMCJPのマシンのアタックにあてることになりました。

そしてスケジュール通り午後2時50分に予選がスタート。M2 CS Racing Seriesに参戦する各車がコースインします。多くのマシンが1周目を1分30秒後半から40秒台で周回し、2周目に勝負をかけていましたが、最初にめざましいタイムをたたき出したのが♯46 山西 康司選手。2周目に1分31秒471をマークしまずはトップに立ちます。さらに3周目には1分31秒438とタイムを更新。4周を終えてピットに戻ります。

これに肉薄するタイムを出したのが、ラウンド2 富士では2戦連続で2位に入った♯55 石井 一輝選手です。2周目に1分31秒834、続いてアタックした3周目には1分31秒572を刻み、予選前半は2番手につけます。また、1周目から1分32秒574の好タイムを出したのが♯19 奥村 浩一選手で、2周目にはさらに1分32秒437と4番手のタイムをマークしました。

一方、ポイントリーダーの♯25 水元 寛規選手は、2周目に1分32秒453を出した後、いったんピットインし終盤に再びアタック。そしてタイムを大きく更新する1分31秒527を記録し2番手へ浮上しますが、惜しくも山西選手には届きません。

こうして公式予選の結果は、ポールポジションが山西選手、2番手 水元選手、3番手 石井選手、4番手 奥村選手、5番手 近藤選手、6番手 神頭選手、7番手 舟越選手、8番手 服部選手、9番手 片山選手という結果となりました。

♯8 近藤 翼選手は予選終盤に全体で3位にあたるタイムをマークしましたが、これが走路外走行となりタイムが削除され、2周目にマークした1分32秒980が自身のベストタイムとなったため、5番手となりました。

なお、スターティンググリッドについては、予選7番手の舟越選手が前戦で科されたペナルティによって最後尾となり、服部選手と片山選手が1ポジションずつ繰り上がることになりました。

 

■決勝レース1(第7戦)

 

第7戦(決勝レース1)、第8戦(決勝レース2)と2度の決勝レースが行われる2日目。雲はあるものの2日目の天気も良好で、午前中に行われる決勝レース1の直前にはすでに気温が30度を超え、前日と同様に暑さとの戦いも大きなウェイトを占めそうです。

全車グリッドに並び、午前10時18分にスタート。2番グリッドの♯25 水元 寛規選手が素晴らしいダッシュを見せ第1コーナーを通過します。これに♯46 山西 康司選手、♯55 石井 一輝選手と続き、4番手には♯8 近藤 翼選手が浮上。さらに♯19 奥村 浩一選手、♯50 神頭 政志選手、♯78 服部 文雄選手、♯47 舟越 裕介選手、♯70 片山 剛選手と続きました。

スタートで2番手に後退した山西選手ですが、1周目から水元選手に離されることなく強烈なプレッシャーをかけ続けます。この2台に僅かながら間隔を空け3、4番手争いも熾烈で、石井選手の後ろに近藤選手がピタリと張りつきます。1周目は水元選手が2位の山西選手に僅かコンマ15の差でコントロールラインを通過し、3位 石井選手、4位 近藤選手、5位 奥村選手、6位 神頭選手、7位 服部選手、8位 舟越選手、9位 片山選手の順位で各車ホームストレートへ戻ってきました。

少しずつレースが動き始めたのは3周目。第1コーナー手前で山西選手がアウトから水元選手に並びますが、ここは水元選手が抑え前へは行かせません。しかしなおも山西選手が攻め続け、最終コーナー手前ではサイドバイサイドの攻防が繰り広げられます。山西選手は続くメインストレートで水元選手を捉え、ついにトップを奪取しました。

それでも水元選手は大きく離されることなく追走しましたが、5周目に入ると山西選手が徐々にアドバンテージを広げ、6周を終えた時点で水元選手との差は3秒以上になっていました。レース後半は山西選手がさらに差を広げひとり旅となるなか、水元選手、石井選手、近藤選手による2位争いが激しさを増します。しかし水元選手が最後まで2位のポジションを明け渡すことはなくレースは終了。

こうして山西選手が初優勝を飾りましたが、水元選手はスタート前の「5分前ボード提示後の作業」によるペナルティによりタイムが5秒加算となり4位へ。石井選手が2位へ、近藤選手が3位へ繰り上がりました。そして5位は奥村選手、6位は服部選手、7位は舟越選手、8位は神頭選手、9位は片山選手という結果になりました。なおファステストラップは、山西選手が5周目にマークした1分32秒233でした。

 

■決勝レース2(第8戦)

 

M2 CS Racing Seriesの大きな特徴となっているのが、「1デイ2レース」というレースフォーマットです。文字通り1日に2回の決勝レースを行うわけですが、これはエントラントもギャラリーもサーキットで過ごす1日を楽しみ尽くせるよう採用されました。2レースをどのような戦略で攻め抜くのかも重要で、しかも決勝レース2(第8戦)が行われる直前も相変わらずの暑さ。気温は1戦目から僅かに上がった程度でしたが、路面温度の上昇はそれ以上となり、これを考慮したレースの組み立ても必要になりそうです。

ところで、このレースにはもうひとつユニークなアイデアが盛り込まれています。それが「リバースグリッド方式」。決勝レース1は予選結果でスターティンググリッドが決まりますが、決勝レース2は決勝レース1の順位の上位60%までを「逆さま」に入れ替えてグリッドに並びます。単純に考えれば、前戦で速かったマシンが後ろから追い上げるわけですから、ただでさえ激しい戦いとなるワンメイクレースが、よりいっそうヒートアップすることになります。

ラウンド4 スポーツランドSUGOは9台のエントリーですので、9×0.6=5.4で、決勝レース1の上位5台の順位が入れ替わります。この結果、ポールポジションは奥村選手、2番手 水元選手、3番手 近藤選手、4番手 石井選手、そして5番手が前戦優勝の山西選手となり、以下6番手 服部選手、7番手 舟越選手、8番手 神頭選手、9番手 片山選手の順番でスターティンググリッドに並びました。

そして午後2時53分、決勝レース2がスタート。ポールポジションの奥村選手がスタートダッシュを決め、トップで第1コーナーをクリア。すぐ後ろに続くのは水元選手で、その後ろでは近藤選手と石井選手がサイドバイサイドで第1コーナーに進入。なんとか近藤選手が石井選手を抑えて3位をキープします。さらに山西選手、服部選手、神頭選手、舟越選手、片山選手と続き、1周目はこの隊列のままコントロールラインを通過しました。

奥村選手は水元選手の激しい追撃をかわしつつトップを走り続けますが、2周目に石井選手が近藤選手を捉え3位へ浮上、近藤選手は山西選手にも抜かれ5位へと後退します。その後上位は8周目まで、奥村選手、水元選手、石井選手、山西選手、近藤選手の順でレースが推移しますが、9周目に山西選手が2台を抜いて2位へジャンプアップしました。

さらに10周目には水元選手がマシントラブルでスローダウンし、最後尾へと順位を落としてしまいます。一方、奥村選手は2位に躍進した山西選手にも強烈なプレッシャーをかけられますが、しっかりと守り切り見事ポール・トゥ・ウィンを飾りました。そして2位は山西選手、3位は石井選手、4位は近藤選手、5位は服部選手、6位は神頭選手、7位は舟越選手、8位は片山選手、9位は水元選手という結果になりました。

なお、ファステストラップは、近藤選手が6周目にマークした1分33秒271でした。近藤選手のマシンはB.o.Pにより365馬力へとパワーが絞られていましたが、ストレートではスリップストリームを使い、コーナーでは巧みなドライビングテクニックでアンダーパワーを補い、素晴らしいタイムをマークしました。

M2 CS Racing Series.2023シーズンは、ラウンド4スポーツランドSUGOに続き、ラウンド5 富士スピードウェイ、そして最終ラウンドは鈴鹿サーキットが舞台となり、全6ラウンド、12戦でシリーズタイトルを争います。これからの「BMW & MINI Racing」の熱戦に、どうぞご期待ください。

Round.5以降の「BMW & MINI Racing.2023」のレースカレンダーは以下の通り。

Round.5

第9戦/第10戦  富士スピードウェイ(静岡県)

予選:10月7日(土)、決勝:10月8日(日)

Round.6

第11戦/第12戦 鈴鹿サーキット(三重県)

予選:12月2日(土)、決勝:12月3日(日)

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